
「回天(かいてん)」――それは、天を回(めぐ)らし戦局を逆転させるという願いを込めて名付けられた、人間魚雷の名称です。
山口県周南市の沖合に浮かぶ静かな島、大津島(おおづしま)。
太平洋戦争末期、ここには秘密兵器「回天」の訓練基地と発射場がありました。
現在、その跡地近くに建つ**「回天記念館」**は、国のために命を捧げた若者たちの歴史と、戦争の悲惨さ、そして平和の尊さを今に伝える重要な場所となっています。
美しい瀬戸内の自然の中に残る、忘れてはならない記憶の地をご案内します。
1. 1,000点の遺品が語る「若者たちの真実」
回天記念館には、当時の隊員たちの遺品や資料、約1,000点が展示されています。
- 魂の叫び「遺墨・遺影」:展示の中で最も胸を打つのが、出撃していった若き隊員たちの遺書(遺墨)や写真です。家族への感謝、国を思う気持ち、そして生きたいという切なる願い。達筆な文字で綴られた最期の言葉は、見る者の涙を誘います。
- 回天の模型:大量の爆薬を搭載し、一度発射すれば二度と生きて帰ることはできない特攻兵器。その構造や運用方法を知ることで、当時の極限状態を学ぶことができます。
2. 往時のまま残る「訓練基地跡」
記念館だけでなく、大津島には当時の施設跡が現存しており、実際に足を踏み入れることができます。
- 回天発射場跡:海に向かって伸びるコンクリートの遺構。ここから多くの若者が訓練に励み、そして戦地へと旅立っていきました。
- 調整工場跡とトンネル:魚雷を整備した工場跡や、発射場へと続くトンネルも残されています。トンネルの中を歩くと、当時の隊員たちがどのような思いでこの道を歩いたのか、肌で感じることができるでしょう。
3. 桜並木と平和への祈り
重い歴史を持つ場所ですが、現在の記念館周辺は美しく整備されています。
- 春の桜並木:記念館の前は桜の名所となっており、春には満開の桜が咲き誇ります。散りゆく桜の花びらと、若くして散った命。そのコントラストは美しくも儚く、訪れる人々に静かな追悼と平和への誓いを促します。
基本情報 (Access & Info)
| 項目 | 詳細 |
| 施設名 | 回天記念館 |
| 所在地 | 山口県周南市大津島1960 |
| 開館時間 | 8:30~16:30 |
| 休館日 | 水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/3) |
| 入館料 | 大人 310円 18歳以下の学生・幼児 無料 |
| アクセス | ①JR徳山駅から徒歩約2分で「徳山港」へ ②徳山港からフェリーまたは高速船に乗船(約18分~44分) **③「回天記念館前」**等で下船、または島内バス・徒歩移動 |
| 駐車場 | 徳山港周辺に有料駐車場あり(島内にも駐車場あり) |
| お問い合わせ | 周南市回天記念館(電話番号は公式サイト等でご確認ください) |
よくある質問 (FAQ)
Q. 「回天」とは何ですか?
太平洋戦争末期に日本海軍が開発した特攻兵器です。大型の魚雷を改造し、人が操縦して敵艦に体当たりするように作られた「人間魚雷」のことです。
Q. 徳山港からの船はどのくらいの頻度で出ていますか?
1日に数便(フェリーと高速船あわせて7往復程度)運航していますが、時間は限られています。事前に「大津島巡航」の時刻表を必ず確認してからお出かけください。
Q. 島内での移動手段は?
「馬島(うましま)」港または「刈尾(かりお)」港から記念館までは距離があります。島内にはコミュニティバスも走っていますが、本数が少ないため、徒歩(港から20〜30分程度)またはレンタサイクル等の利用を検討することをおすすめします。
【まとめ】
美しい瀬戸内海に浮かぶ、悲しい記憶を刻んだ島。
しかし、そこにあるのは絶望だけではありません。
平和な未来を願う強いメッセージを受け取りに、大津島・回天記念館を訪れてみてください。